通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

心不全診療における血中BNP値と血中NT-pro BNP値の相関関係解明に関する共同研究

研究概要

現在、血中B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値あるいは血中N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)値が心不全の診断、重症度、予後などが評価されています。NT-proBNP値はBNP値と比較して、腎機能や年齢などの影響をより強く受けるため、我が国ではBNP値が優先的に使用されてきました。しかし、近年、BNPなどのペプチドの分解にかかわる中性エンドペプチダーゼであるネプリライシンの阻害薬が心不全治療薬として登場し、その薬剤の使用患者では心不全診療においての評価にBNP値をこれまでと同様に扱えなくなりました。NT-pro BNPはネプリライシン阻害薬の影響を受けず、今後診療での使用が増えることが予想されていますが、BNP値とNT-pro BNP値との変換式は確立されておらず、これまでに測定されたBNP値とNT-pro BNP値とを比較するのが困難な状況です。本研究は血中NT-pro BNP値と血中BNP値との関係性に与える年齢、腎機能などの因子を多施設で数多くの症例を集めて検討し、診療に用いることができる換算式を作成します。

対象症例

2008年9月~2015年9月に大阪大学医学部附属病院の循環器内科に診療をうけて診療で血中NT-pro BNP値、BNP値が測定された患者さん

研究施設・研究責任者

研究施設:大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学
研究責任者:坂田泰史 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学/教授
なお、本研究は多施設共同研究であり当院は共同研究施設になります。
代表施設:奈良県立医科大学循環器内科
研究代表者:斎藤能彦 奈良県立医科大学循環器内科/教授

研究目的

血中NT-pro BNP値とBNP値との関係性を明らかにして変換式を算出し、今後の心不全診療に役立てることを目的とします。

研究方法

大阪大学医学部附属病院の循環器内科にて診療で測定された血中BNP値と血中NT-pro BNP値および腎機能や年齢などの患者さんの診療情報を電子カルテから抽出して、データは匿名化されたのち研究代表施設にて解析を行います。

研究の意義

本研究の結果は、血中BNP値に影響を与える新規の心不全治療薬の登場によっても、血中BNP値や血中NT-pro BNP値を用いた心不全の診断や治療が適切に行えることに寄与します。

個人情報の扱い

患者さんの診療情報のなかに含まれる、お名前、生年月日、カルテ番号等、ご本人を特定しうる個人情報については、匿名化を行い、情報が外部に漏れないように厳重に管理、保管します。また、研究成果が公表される場合にも、患者さんが特定されないように取り扱います。

利益相反

循環器内科学講座は数社より奨学寄附金を受けています。研究を行うときにその研究を行う組織あるいは個人(以下「研究者」という。)が特定の企業から研究費・資金などの提供を受けていると、その企業に有利となるように研究者が研究結果を改ざんあるいは解釈したり、また都合の悪い研究結果を無視するのではないかという疑いが生じます。(こうした状態を「利益相反」といいます。)
この研究における利益相反は、大阪大学大学院医学系研究科・医学部臨床研究利益相反審査委員会による審査を受け、承認を得ています。我々はその審査結果に基づき、利益相反を適正に管理して研究を行います。

本研究に関する連絡先

大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座
TEL 06-6879-3640

研究対象者に研究への参加を拒否する権利を与える方法

本研究の対象患者さんは、上記問い合わせ先に連絡することによっていつでも本研究への参加を拒否することが可能です。

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