通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)後のカテーテル生体弁付着血栓 (血栓弁)の評価と血栓弁のリスク因子解析 -多施設共同観察研究-

研究概要

 大動脈弁狭窄症は、加齢とともに有病率は増加し、軽度のものも含めると80歳以上の方の10%程度に認めるといわれています。これまで行われていた外科開胸手術(大動脈弁置換術)は、高齢者や並存疾患を多く持っている方には負担が大きく、治療ができないこともしばしばありました。そのような患者さんのために、近年カテーテル治療(経カテーテル的大動脈弁植込み術)が行えるようになりました。その良好な成績と少ない体への負担から、多くの患者さんに使用されるに至っています。一方で、カテーテル治療後の新しいカテーテル弁に血栓が付着すること(血栓弁)が海外から報告され、弁の耐久性や塞栓症が懸念されるようになりました。日本人におけるカテーテル治療後の至適な抗血栓療法を検討するために、日本人における血栓弁の頻度や関連する因子(基礎疾患や内服薬など)を調査する研究を行うこととしました。

対象症例

 2018年9月1日から2020年3月31日までに大阪大学医学部附属病院で経カテーテル的大動脈弁植込み術を受けられた患者さん

研究機関名

 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座(研究代表施設)
 研究責任者:坂田泰史 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座教授
 関西ろうさい病院 循環器内科 飯田 修
 大阪労災病院 循環器内科 中村 大輔
 大阪警察病院 循環器内科 竹田 泰治
 大阪急性期・総合医療センター 心臓内科 菊池 篤志

研究目的

 経カテーテル的大動脈弁植込み術治療後の至適な抗血栓療法を検討するために、血栓弁の頻度や関連する因子(基礎疾患や内服薬など)を調査することを目的としています。

研究方法

 経カテーテル的大動脈弁植込み術を受けた患者さんの診療情報を電子カルテから抽出し、心臓超音波検査や心臓CT検査から血栓弁の有無を判断します。さらに、血栓弁に関係する因子の解析を行います。

研究の意義

 経カテーテル的大動脈弁植込み術は世界中でますます多くの患者さんに行われるようになって来ています。しかし、使用されるようになってからの歴史はまだ浅く、カテーテル弁の長期的な耐久性など明らかにされていない面があります。その一つが血栓弁の存在であり、本研究によってカテーテル治療後の至適抗血栓療法が明らかになることが期待されます。

個人情報の扱い

 患者さんの診療情報のなかに含まれる、お名前、生年月日、カルテ番号、住所、電話番号等、ご本人を特定しうる個人情報については、匿名化を行い、情報が外部に漏れないように厳重に管理、保管します。また、研究成果が公表される場合にも、患者さんが特定されないように取り扱います。

研究の利益相反

 研究を行うときにその研究を行う組織あるいは個人(以下「研究者」という。)が特定の企業から研究費・資金などの提供を受けていると、その企業に有利となるように研究者が研究結果を改ざんあるいは解釈したり、また都合の悪い研究結果を無視するのではないかという疑いが生じます。(こうした状態を「利益相反」といいます。)当講座は、本研究に使用するカテーテルの製造販売会社である日本メドトロニック㈱とエドワーズライフサイエンス㈱から奨学寄附金を受けています。この研究における利益相反は、大阪大学大学院医学系研究科・医学部臨床研究利益相反審査委員会による審査を受け、承認を得ています。我々はその審査結果に基づき、利益相反を適正に管理して研究を行います。

本研究に関する代表連絡先

 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座
 溝手 勇
 TEL 06-6879-3640

研究対象者に研究への参加を拒否する権利を与える方法

 本研究の対象患者さんは、上記問い合わせ先に連絡することによっていつでも本研究への参加を拒否することが可能です。

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