通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

匂い解析定量化技術を用いた心不全バイオマーカーの探索的研究

1.研究の対象

 2023年3月末までの間に、心不全と診断された大阪大学医学部附属病院に入院された患者様または外来患者様、ゆみのハートクリニック、のぞみハートクリニックの外来患者様、また対照群として不整脈治療を目的に大阪大学医学部附属病院に入院された心不全の無い不整脈患者様を対象としています。

2.研究目的・方法

目的:高齢化社会を迎え、健康寿命を延長することは喫緊の課題です。健康寿命を制約する代表的な疾患として、心不全が挙げられますが、早期発見によりより早く適切な診療を実施していくことが健康寿命の延長につながると考えられています。心不全では、これまでの研究で、様々な血液の検査項目や、画像診断の技術が開発されてきましたが、病状や予後を完全に予測することは難しいのが現状でした。そこで本研究では、血液ではなく、尿、呼気、皮脂の揮発性成分に着目し、これを人工嗅覚装置により解析します。ヒトでは嗅覚受容体を刺激する成分は約400あると報告されており、これらの測定値と、心不全の早期診断、予後の判定に有用な匂いバイオマーカーを解析することを目的としています。

方法: 尿、呼気、皮脂由来ガスをサンプルとして解析します。呼気は活性炭入りマスク、病は採尿容器、皮脂由来のガスは皮膚ガスサンプラーで収集します。サンプルの収集をお願いするのは、3-6か月毎、2年程度を予定しています。収集したサンプルは、匂いの元である揮発性成分を分離し、大阪大学産業科学研究所、香味発酵(株)開発した、約400種類の匂い成分に反応する人工嗅覚装置を用いて解析します。匂いの成分は任意の匂いによる嗅覚受容体の活性化の度合いだけでなく、任意の匂いの組み合わせで表現する方法が可能で、これらの解析結果と、患者様の臨床情報を統合して、疾患の病状診断や予後の判定に有用な、匂いバイオマーカーを探索します。

3.研究に用いる試料・情報の種類

 試料:尿、呼気、皮脂由来ガス

 情報:年齢、性別、身長、体重、血圧、臨床検査値、病歴、治療歴等の個人を特定しえないような診療情報等

4.外部への試料・情報の提供

 本研究では、尿、呼気、皮脂由来ガスなどの試料資料を、大阪大学産業科学研究所とその技術を導出した大阪大学発ベンチャーの(株)香味発酵に、個人が特定できない状態で試料を提供し、解析を行います。対応表は、当院の研究責任者が監督のもと、当院の管理者が保管・管理します。

5.研究組織

大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学
医療法人社団ゆみのハートクリニック
のぞみハートクリニック
大阪大学産業科学研究所
(株)香味発酵

6.お問い合わせ先

 本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

 照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
 研究実務担当者
 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 助教 小関正博
 大阪府吹田市山田丘2-2、TEL 06-6879-3633
 研究責任者・代表者
 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授 坂田泰史
 大阪府吹田市山田丘2-2、TEL 06-6879-3632

月間アーカイブ
PageTop