通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

収縮機能が保持された心不全症例に関する臨床背景、治療および予後に関する後ろ向き研究

研究概要

 平成26年度の人口動態統計によると、我が国における心疾患による死亡数は約19万6千人であり、1位である癌による死亡数の37万人に続きます。また、平成24年度国民医療費に対する循環器疾患の占める割合は1位であり、循環器疾患に対する医療対策が急務となっています。その循環器疾患の中でも、心不全による死亡は年々増加しており、特に対策が急がれる分野です。
 近年、心筋収縮能は比較的保たれているにもかかわらず、拡張能の低下により心不全症状が出現するHeart Failure with preserved Ejection Fraction (HFpEF: 収縮機能が保持された心不全) という心不全が世界的に注目されています。この心不全が発症する機序やその後の治療法については、不明な点が多いことが現状です。

対象症例

 2010年3月1日から2015年12月31日までに大阪大学医学部附属病院の循環器内科で外来または入院診療をうけた1.2を満たす患者さん

1.血液検査において、心不全のマーカーであるBNPが100pg/ml以上
2.心臓超音波検査において、収縮力の指標が低下していない(左室駆出率が50%以上)

なお、1.2.の両者を満たしても、以下が一つでもある場合は、対象外となります。

1.登録時の心エコーにて弁の器質的変化による重度以上の弁膜症(大動脈弁狭窄症(AS)、大動脈弁閉鎖不全症(AR)、僧房弁狭窄症(MS)、僧房弁閉鎖不全症(MR))を合併している
2.20歳未満
3.登録時急性冠症候群を合併している
4.予後半年以内と診断されている心臓外の疾患を有する
5.心臓移植術後

研究機関名/研究責任者

 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座
(研究責任者:坂田泰史 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座教授)

研究目的

 HFpEF患者さんの臨床背景、治療内容、予後を明らかにすることで、HFpEF患者さんの病態を把握し、病気の解明や新しい治療法の発見の一助とすることが目的です。

研究方法

 『対象症例』で記載した患者さんの診療情報を電子カルテから抽出し、臨床背景、治療内容、予後を調査し、HFpEFに関係する因子の解析を行います。

研究の意義

 心不全のなかでもHFpEFは、その発症機序、その後の経過など不明な点が多く、世界で研究が進められています。HFpEF患者さんの診療情報を詳細に検討することで、病気の詳細が明らかになったり、新しい治療法が発見されたりすることが期待されます。これらにより、HFpEF患者さんの生活の質が改善したり、再入院率や死亡率軽減につながることが期待されます。

個人情報の扱い

 患者さんの診療情報のなかに含まれる、お名前、生年月日、カルテ番号、住所、電話番号等、ご本人を特定しうる個人情報については、匿名化を行い、情報が外部に漏れないように厳重に管理、保管します。また、研究成果が公表される場合にも、患者さんが特定されないように取り扱います。

本研究に関する代表連絡先

 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座
 TEL 06-6879-3640

研究対象者に研究への参加を拒否する権利を与える方法

 本研究の対象患者さんは、上記問い合わせ先に連絡することによっていつでも本研究への参加を拒否することが可能です。

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