通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

心房細動患者に対する抗凝固療法の最適化:複数のレジストリデータの大規模統合解析

1. 研究概要

近年、日本では高齢化に伴い心房細動の有病率が増加傾向にあります。心房細動患者さんでは心原性塞栓症による脳梗塞が合併症として問題となるため、それを予防する目的で抗凝固療法が推奨されています。最近ではワルファリンに代わり直接経口抗凝固薬(DOAC)が主に使用されています。DOACの臨床データは多くの海外試験から報告されていますが、日本の実臨床における心房細動患者に対するDOACの適正な使用方法については未だ研究の余地があります。
リアルワールドデータを解析する際、様々なバイアスを調整するためには、適切な統計的手法を用いて解析する必要がありますが、そのためには大規模なデータベースが必要不可欠です。本研究ではDOAC内服患者のレジストリを複数統合し(DIRECT registry + SAKURA-AF registry + 大阪大学の新規データベース)、日本の多様な実臨床を反映するリアルワールドの大規模なデータベースを構築し、様々な側面から多角的かつ探索的に研究を行い、このレジストリでDOACの適正な使用方法の新たな体系を構築することを目指します。

研究概要図

2.研究の対象

2011年3月以降、当院で直接経口抗凝固薬(DOAC)を処方されている方

3.研究目的・方法

DOACを内服している患者の背景や予後との関係性を多角的に検討するための多施設後ろ向き観察研究
研究期間:研究機関の長の実施許可日から2031年12月31日まで

4.研究に用いる試料・情報の種類

情報:基本情報、病歴、治療歴、血液検査データ、有害事象等の発生状況 等
試料:画像検査データ(心電図、心臓超音波検査、CT、MRI等)等

5.外部への試料・情報の提供

データセンターへのデータの提供は、特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。対応表は、当センターの研究責任者が保管・管理します。

6. 個人情報等の取扱い

研究代表者は、世界医師会ヘルシンキ宣言を遵守し、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年3月23日)」に則り、研究対象者の個人の尊重と人権を守るとともに、個人情報保護法を遵守し、患者個人情報の取り扱いに細心の注意を払って実施します。

データ収集・個人情報の保護

データの収集および匿名化

本研究で収集する研究対象者の個人情報を含むデータは、研究に参加する各施設において、診療録を閲覧する権限を持つ者が対象症例の診療録を閲覧して、観察・検査項目と評価項目に記載されているデータを収集します。また、診療録から情報を収集する際に氏名・住所等の個人情報を削除して、研究用の識別コードを付与し、対応表を作成します。データは、各研究機関の研究責任者が責任を持って管理し、個人情報を含む対応表は各研究機関で個人情報管理責任者が各研究機関の個人情報保護規定に準じて厳重に保管します。また、各患者の診療録に関しても、各施設の規定に従い保管します。

共同研究機関へのデータ提供

各研究機関間での情報の受渡しについては匿名化された情報のみを取り扱います。データを共同研究機関に提供する場合は、パスワードを設定してデータを保護した上で電子メール等にて配信することにより提供することとします。

大阪大学における情報の保管

個人情報を含むデータを保存するPC端末は、セキュリティワイヤーにて盗難防止装置を施すか、鍵付きの棚や引き出し等で保管されます。また、関係する研究者のみがアクセスできるようにパスワード・生体認証のいずれかによるアクセス制御を行います。個人情報を含むデータをクラウドのファイル保存システム上に保存する場合は、大阪大学の構成員のみがアクセス可能なシステムであるICHO OneDrive上に保管し、ICHO OneDrive上の共有も関係する研究者のみに制限する。なお、USBにデータを蓄積する場合、そのUSBもパスワードロック等を施した上で、鍵付きの棚や引き出し等で保管されます。また、本研究に参加する研究者は、定期的に実施される大阪大学の情報セキュリティに関する研修を受講します。

7.研究組織

大阪大学医学部附属病院 循環器内科学 坂田泰史
大阪警察病院 循環器内科学 樋口義治
日本大学医学部附属病院 循環器内科学 奥村恭男

8.お問い合わせ先

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先

大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学
外海洋平
住所:〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2
電話番号:06-6879-3640

研究責任者

大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 坂田泰史

研究代表者

大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 坂田泰史

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