心不全部門
取り扱い疾患
拡張型心筋症、肥大型心筋症、虚血性心筋症、2次性心筋症(心サルコイドーシス、心ファブリ病、筋疾患に伴う心筋症など)、弁膜症、成人先天性心疾患および肺高血圧症に伴う急性心不全および慢性心不全
特色
心臓移植施設である当大学では移植適応の検討をするstageDの重症心不全から心不全症例の多数を占める高齢者の心不全まで多岐にわたる病態の診療を行っています。特に重症心不全では治療の介入余地がある二次性心筋症を逃さないために心筋生検を含めた多種の検査を行っています。徹底的な内科的治療を行い、それでも外科治療が必要な場合は、心臓外科との密な連携により至適なタイミングでの弁膜症手術や補助人工心臓装着術などの外科治療への移行も行っています。また、心臓移植の待機が長期化する日本の現状において、補助人工心臓装着症例の合併症予防や治療にも積極的に関わり、移植までの橋渡しをサポートしています。 重症心不全診療に携わる医師の育成を目的に他施設より研修生の受け入れを行っております(重症心不全・移植専攻医育成プログラム)。
DT治療を検討している患者さんのための意思決定支援ガイド(ディシジョンエイド)
重症心不全の治療の一つの選択肢として、LVAD(左心補助人工心臓)を植え込み長期に在宅で過ごすことを目指す治療(DT治療: Destination therapy, 長期在宅補助人工心臓治療)が2021年5月に保険償還されました。大阪大学も国内7カ所の実施施設の一つです。
この意思決定支援ガイドは、「DT治療を受けること」、「DT治療は受けずに内科治療を続けること」、の二つの選択肢について取り上げています。DT治療は基本的に余生をLVADとともに過ごす治療となります。患者さんおよびその付添をする方が治療について十分に理解し、納得したうえで受けていただくことが望ましいと考えています。
この冊子は情報提供ならびに患者さんの価値観の明確化をサポートする目的で国際基準に則って開発しました。治療選択肢のリスクとベネフィットに加え、患者さんの価値観を反映させて患者さんと医療者で共有意思決定(Shared Decision Making)を行うためのツールとして当施設でも活用しております。DT治療を検討されている患者さんや医療チームの皆様に広く活用いただければ幸いです。
ご相談や紹介もお受けしております。どうぞ当科までお問合せください。
診療実績
入院診療実績
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
心不全入院精査加療総数 | 281例 | 264例 | 250例 | 205例 | 167例 | 199例 | 185例 |
うち転院症例 | 45例 | 55例 | 45例 | 33例 | 20例 | 31例 | 38例 |
心臓移植新規登録症例 (心肺移植も含む) |
26例 | 21例 | 20例 | 22例 | 14例 | 11例 | 17例 |
長期在宅補助人工心臓治療 (DT-LVAD) |
2例 | 5例 | 8例 | ||||
代表的な基礎心疾患 | |||||||
特発性拡張型心筋症 | 94例 | 84例 | 79例 | 57例 | 47例 | 61例 | 64例 |
虚血性心筋症 | 33例 | 23例 | 26例 | 27例 | 21例 | 28例 | 20例 |
肥大型心筋症(拡張相を含む) | 27例 | 35例 | 18例 | 23例 | 13例 | 19例 | 16例 |
弁膜症(術後も含む TAVI症例は別途記載) | 28例 | 19例 | 31例 | 21例 | 20例 | 14例 | 14例 |
肺高血圧症(除く2群) | 9例 | 24例 | 16例 | 10例 | 9例 | 6例 | 6例 |
急性心筋炎 | 6例 | 8例 | 10例 | 8例 | 6例 | 3例 | 8例 |
心臓移植後入院 (検査・治療を含む延べ数) |
113例 | 104例 | 129例 | 117例 | 117例 | 125例 | 162例 |
検査実績
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
心筋生検 | 260件 | 272件 | 310件 | 260件 | 264件 | 290件 | 349件 |
心臓MRI検査 | 148件 | 180件 | 189件 | 182件 | 186件 | 204件 | 207件 |
経胸壁心エコー図検査 | 7702件 | 6657件 | 6238件 | 7713件 | 8647件 | 8969件 | 8087件 |
経食道心エコー図検査 | 280件 | 363件 | 412件 | 460件 | 431件 | 401件 | 377件 |
心臓リハビリテーション(入院のみ) | 439件 | 461件 | 487件 | 539件 | 548件 | 605件 | 668件 |
心臓リハビリテーション実施のべ件数 | 4656件 | 5724件 | 6974件 | 7702件 | 7535件 | 8475件 | 9792件 |
主任
心不全全般
赤澤 康裕(あかざわ やすひろ)
【略歴】
平成19年3月 大阪大学医学部卒業
平成19年4月―平成21年3月 大阪大学医学部附属病院 初期研修医
平成21年4月―平成24年3月 大阪警察病院 循環器内科 シニアレジデント
平成24年4月―平成25年3月 大阪警察病院 循環器内科 医員
平成25年4月―平成26年3月 大阪大学医学部附属病院 循環器内科 医員
平成26年4月―令和2年3月 大阪大学大学院医学系研究科 大学院生
令和2年4月―令和3年6月 大阪大学医学部附属病院 臨床検査部 医員
令和3年7月―現在 大阪大学医学部附属病院 ハートセンター 特任助教
令和4年4月 医学博士取得
【メッセージ】
阪大病院は心臓移植実施施設ですので、重症心不全症例の診療に重点を置いています。循環器内科と心臓血管外科とで連携し、大阪大学のリソースも利用しながら一例一例丁寧に診療していきたいと思います。
外来では心臓移植後外来を担当しています。心臓移植は重症心不全の非常に強力な治療ですが、拒絶反応をはじめとした合併症が起こることがあります。心臓移植後の患者さんが、合併症を来さずに、できるだけ長期間健康で過ごしていただけるように、多職種で連携しながらきめ細やかな診療を行っていきたいと思います。
成人先天性心疾患(ACHD)担当
世良 英子(せら ふさこ)
【略歴】
平成14年3月 大阪大学医学部卒業
平成14年6月-平成15年5月 大阪大学医学部附属病院 第一内科 研修医
平成15年6月-平成24年3月 関西労災病院 循環器内科
平成24年4月-平成27年3月 Columbia University Medical Center, New York, NY, USA博士研究員
平成27年4月-平成28年8月 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 医員
平成28年8月-平成30年4月 同研究科 重症心不全内科治療学講座 寄付講座助教
平成30年4月-現在 同研究科 循環器内科学 特任助教
【メッセージ】
心不全部門が中心となり不整脈や虚血・SHDなどの循環器内科の専門部門と協力しながら患者様一人一人の状態に合わせた診療を行っていきます。心臓外科や小児科とも密に連携し長期的な管理を行っていきます。
心エコー検査部門担当(兼 診療副局長)
竹田 泰治(たけだ やすはる)
【略歴】
平成11年 大阪大学医学部卒
平成11年6月―12年5月 大阪大学医学部附属病院第一内科研修医
平成12年6月―16年5月 大阪警察病院循環器内科研修医、医員
平成16年6月―18年3月 大阪大学医学部附属病院循環器内科医員
平成21年3月 医学博士取得
平成21年4月―24年3月 大阪大学医学部附属病院卒後教育開発センター医員
平成24年4月―26年3月 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学特任助教
平成26年4月―31年3月 大阪警察病院循環器内科医長、副部長
平成31年4月 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学助教
【心エコー主任からのメッセージ】
大学病院という立場をしっかり認識し、重症心不全症例の最後の砦として、確実な診断、治療をめざし、精一杯務めていきたいと思います。また、ハートセンターとして、内科、外科だけでなく、多職種で連携しながら、診療にあたっていきたいと思います。
心エコーは現代の聴診器です。心エコー室での正確な評価だけでなく、ベッドサイドへ飛び出し、積極的そして迅速な病態把握にも努めてまりいます。