多施設共同臨床研究グループ

グループ概要

私たちのグループは、大阪大学医学部附属病院および連携医療機関での日々の診療により産み出される様々クリニカルクエスチョンや単施設でデータ収集して得られた研究成果を、阪大病院を中心とした多施設共同研究でしっかりとした質の高い臨床研究を行うことにより解明するとともに全国および世界に向けてエビデンスとして発信することを目指しています。

そのために、臨床情報と予後に関する情報を蓄積する疾患レジストリー研究や、明確な目的を持った多施設共同前向き共同研究を実施し、予後予測や予後改善につながるエビデンスを発見し、循環器疾患の新しい診療体系を作っていくことを目指しています。さらには臨床情報だけではなく、血液や体細胞などのサンプルも収集し、生体試料を用いた解析も並行しながら、予後に関係する新しい遺伝子マーカーの発見や、新しい予後予測法の開発等もおこないたいと考えています。

大阪大学循環器内科では、1998年から関連の連携医療機関と共同して急性心筋梗塞を対象として大阪急性冠症候群研究会(OACIS)レジストリーを構築し、様々なエビデンスを産み出してきました。私たちは、このOACISレジストリーの精神、ノウハウを受け継ぎつつ、大阪大学の持つ様々なリソースの活用や日々循環器診療の最前線で活躍されている連携医療機関の先生方等とより密接な研究協力関係を築くことによって、より質の高いエビデンスを産み出すことのできる新しいレジストリーを作りたいと考えています。

平成27年1月から関連施設の先生方と検討を進め、以下の臨床研究を実施することができました。

  • 「経食道心臓超音波検査で左心房内血栓を認めた心房細動患者の予後に関する後ろ向き研究」:データ収集済み、論文作成中
  • 「持続性心房細動症例に対して追加通電の有無が心房細動再発に及ぼす影響に関する研究
    -多施設共同前向き無作為割り付け非劣性試験-」:研究開始前
  • 「左室収縮能が保たれた心不全の予後に関する多施設共同前向き観察研究」倫理審査中
  • さらには、虚血性心疾患を対象とした臨床研究も計画中です。
    また、大学院生には、研究デザインや解析に関して大阪大学の生物統計家との連携で系統立った講習、指導を受け、臨床研究の専門家としてのスキルを身につけてもらうことを目指しています。

    研究目的および内容

    研究目的

    日々の患者さんの診療で感じるクリニカルクエスチョンを、多施設による大規模な臨床研究で解明するとともにエビデンスとして明文化し、世界に向けて発出することを目指しています。また、同時に患者様からのサンプルを用いた解析にも取り組みます。臨床研究は、観察研究、介入研究ともに取り組みます。

    研究内容

    大阪大学医学部附属病院のみならず大阪圏の循環器疾患の専門診療をおこなう主要な医療機関と密接に協力して、不整脈疾患、心不全、虚血性心疾患など、様々な循環器疾患に関して、解明すべきテーマや研究内容を合議で決定し、研究計画から実施、解析までの全てを事務局として取り組みます。研究の計画や実施に関しては、各種法令や指針を順守することは当然のことながら、少しでも質の高いエビデンスを創出するために適切な研究デザインや解析方法を選択して研究を実施します。また、観察研究の予後調査を、行政データを利用して100%の追跡率を達成するための方法論の確立も目指します。また、阪大病院医療情報部との連携により、電子カルテシステムを活用した新たな臨床研究データ収集システムの構築も進め、臨床研究の新しい形を模索します。

    研究テーマとしては、不整脈関係として、TEEにて偶発的に見つかった左房内血栓の予後を検討する後ろ向き研究や、持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションのストラテジーを検討する前向き介入研究、心不全に関して左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)患者のレジストリ研究等を実施中もしくは今後実施予定です。虚血性心疾患に関する研究も計画中です。

    同意が得られた患者様からは、血液や体細胞などのサンプルをいただいてゲノムDNAの抽出や患者様由来のiPS細胞の作製をおこない、遺伝的背景と予後との関係の解析や、iPS細胞由来の心筋細胞や血管細胞を用いた解析とレジストリーのデータと組み合わせて新たな予後予測法の開発などにつなげたいと考えています。このあたりは、重症心不全内科治療学研究グループをはじめとする他のグループとも連携しながら進めます。

    臨床に近いことをやりたい先生、臨床に還元できる成果を得たい先生など、興味のある方の参加をお待ちしております。

    現在進行中の臨床研究

     大阪急性冠症候群研究会データを用いた、急性心筋梗塞の網羅的疫学研究

     収縮機能が保持された心不全症例に関する臨床背景、治療および予後に関する後ろ向き研究

    メンバー紹介

    • 彦惣俊吾
    • 中谷大作
    • 砂真一郎
    • 土肥智晴
    • 岡山慶太
    • 小島貴行
    • 木田博太
    • Oeun Bolrathanak
    • 【共同研究者】
    • 北村哲久(大阪大学環境医学講座)
    • 【秘書】
    • 光岡寿賀子

    主要論文

    1. Hara M, Sakata Y, Nakatani D, Suna S, Usami M, Matsumoto S, Ozaki K, Nishino M, Sato H, Kitamura T, Nanto S, Hamasaki T, Tanaka T, Hori M, Komuro I; OACIS Investigators. Reduced risk of recurrent myocardial infarction in homozygous carriers of the chromosome 9p21 rs1333049 C risk allele in the contemporary percutaneous coronary intervention era: a prospective observational study. BMJ Open. 2014;4(8):e005438.
    2. Hara M, Sakata Y, Nakatani D, Suna S, Usami M, Matsumoto S, Sugitani T, Nishino M, Sato H, Kitamura T, Nanto S, Hamasaki T, Hori M, Komuro I; OACIS Investigators. Comparison of 5-year survival after acute myocardial infarction using angiotensin-converting enzyme inhibitor versus angiotensin II receptor blocker. Am J Cardiol. 2014 Jul 1;114(1):1-8.
    3. Hara M, Sakata Y, Nakatani D, Suna S, Usami M, Matsumoto S, Sugitani T, Ozaki K, Nishino M, Sato H, Kitamura T, Nanto S, Hamasaki T, Tanaka T, Hori M, Komuro I; OACIS Investigators. Renin-angiotensin-aldosterone system polymorphisms and 5-year mortality in survivors of acute myocardial infarction: a report from the Osaka Acute Coronary Insufficiency Study. Int Heart J. 2014;55(3):190-6.
    4. Usami M, Sakata Y, Nakatani D, Suna S, Matsumoto S, Hara M, Kitamura T, Ueda Y, Iwakura K, Sato H, Hamasaki T, Nanto S, Hori M, Komuro I. Clinical impact of acute hyperglycemia on development of diabetes mellitus in non-diabetic patients with acute myocardial infarction. J Cardiol. 2014 Apr;63(4):274-80.
    5. Matsumoto S, Nakatani D, Sakata Y, Suna S, Shimizu M, Usami M, Hara M, Sumitsuji S, Nanto S, Sasaki T, Hamasaki T, Sato H, Hori M, Komuro I; Osaka Acute Coronary Insufficiency Study (OACIS) Group. Elevated serum heart-type fatty acid-binding protein in the convalescent stage predicts long-term outcome in patients surviving acute myocardial infarction. Circ J. 2013;77(4):1026-32.
    6. Nakatani D, Sakata Y, Suna S, Usami M, Matsumoto S, Shimizu M, Hara M, Uematsu M, Fukunami M, Hamasaki T, Sato H, Hori M, Komuro I; Osaka Acute Coronary Insufficiency Study (OACIS) Investigators. Impact of beta blockade therapy on long-term mortality after ST-segment elevation acute myocardial infarction in the percutaneous coronary intervention era. Am J Cardiol. 2013 Feb 15;111(4):457-64.
    7. Nakatani D, Sakata Y, Suna S, Usami M, Matsumoto S, Shimizu M, Sumitsuji S, Kawano S, Ueda Y, Hamasaki T, Sato H, Nanto S, Hori M, Komuro I; Osaka Acute Coronary Insufficiency Study (OACIS) Investigators. Incidence, predictors, and subsequent mortality risk of recurrent myocardial infarction in patients following discharge for acute myocardial infarction. Circ J. 2013;77(2):439-46.
    8. Matsumoto S, Sakata Y, Suna S, Nakatani D, Usami M, Hara M, Kitamura T, Hamasaki T, Nanto S, Kawahara Y, Komuro I. Circulating p53-responsive microRNAs are predictive indicators of heart failure after acute myocardial infarction. Circ Res. 2013 Jul 19;113(3):322-6.
    9. Suna S, Sakata Y, Nakatani D, Okuda K, Shimizu M, Usami M, Matsumoto S, Hara M, Ozaki K, Mizuno H, Minamino T, Takashima S, Nishino M, Matsumura Y, Takeda H, Tanaka T, Sato H, Hori M, Komuro I. Decreased mortality associated with statin treatment in patients with acute myocardial infarction and lymphotoxin-alpha C804A polymorphism. Atherosclerosis. 2013 ;227(2):373-9.
    10. Hara M, Sakata Y, Nakatani D, Suna S, Usami M, Matsumoto S, Hamasaki T, Doi Y, Nishino M, Sato H, Kitamura T, Nanto S, Hori M, Komuro I; Osaka Acute Coronary Insufficiency Study (OACIS) Investigators. Low levels of serum n-3 polyunsaturated fatty acids are associated with worse heart failure-free survival in patients after acute myocardial infarction. Circ J. 2013;77(1):153-62.

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