病態分子探索グループ

病態分子探索グループver4 1

ゲノム医療の実現を目指し、基礎と臨床、臨床と基礎をつなぐ研究を行っています。ゲノム、エピゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームなどをまたぐ次世代技術を用いて、疾患原因となる分子を同定し、機能解析をはじめ、相互作用蛋白や生理活性分子の同定、生体イメージングを行うとともに、化合物マルチスクリーニング系も独自に構築し、疾患創薬を目指した研究を行っています。

病態分子探索グループver4 (ポンチ絵)

グループ概要

主に心筋症、心不全、不整脈を中心に次世代解析技術を駆使して、疾患ゲノム解析をはじめとして多層・横断オミックス解析を行っています。
新たな病態診断、治療法の開発を目標に、1)全ゲノム解析や全エクソーム解析、RNA-seq解析を中心としたバイオインフォマティクス、2)分子生物学から生化学的な検討に至るまでの分子機能解析、3)遺伝子改変動物をもとにした生体代謝・イメージング解析、を大きな柱に、基礎研究室や臨床部門の先生方一緒に幅広く研究を行っています。
「如何に小さな生化学的事実であっても必ず生命現象に反映される。だから候補となる分子は生体構成の機能単位である蛋白レベルで解析することが重要である。得られた生命科学の真実は必ず臨床に還元される」と考え、一致団結して各テーマに取り組んでいます。

研究目的および内容

  1. 難治性遺伝性心筋症・不整脈の疾患ゲノム解析による未知なる分子機序解明と創薬開発研究
    「次世代ゲノムシーケンサーを用いた遺伝難病の原因究明、治療法開発プロジェクト」について、国内ゲノム解析拠点として、心筋症から不整脈まで難病原因遺伝子のゲノム解析にとどまらず、病態解明、相互作用蛋白同定、生体機能解析、そして診断マーカーや創薬開発にいたるまで、ゲノム医療の実現を目指して研究を行っています。

  2. In vivo imagingを用いた心筋エネルギー代謝・ATP産生の制御機構・心不全および心筋虚血の病態機序解明
    我々は心不全や虚血性心疾患の病態解明のためには心筋エネルギー代謝機構の解明に取り組む事が必須であると考えています。ミトコンドリア酸化的リン酸化に着目した機能タンパクの機能解析、創薬のためのin vitro, in vivo POCの獲得に新規イメージング技術を駆使して取り組んでいます。最近では蛍光イメージングに加え、臨床応用も念頭にMRIを用いた新規代謝イメージングも始めています。

  3. 心臓エピゲノム制御機構と心不全の可逆・不可逆性の分子機序の解明
    心不全の代表的なマーカーであるBNPはどのように分泌制御されているのでしょうか。不全心筋とは何でしょうか。もっと言えば心不全とは何でしょうか。こうした疑問を一つ一つ解明するために我々が着目したのはエピゲノム分子制御です。我々はBNPの発現を調節する領域(エンハンサー領域)を発見しました。さらにそのエンハンサー領域がどのようなストレスで活性化されるのか、どのような転写因子でコントロールされるのかについても解明いたしました。心不全の早期発見を可能とする分子指標開発やBNP制御による心不全治療の研究などへ幅広く展開してまいります。
  4. ゲノム解析・バイオインフォマティクス解析による横断オミックス、人工知能・AI研究
    AIの技術は自動運転だけでなく循環器内科領域の研究にも深くかかわっています。一般に機械学習や人工知能といった技術にはBig dataが必要と言われておりますが、症例数の少ない遺伝性心筋症などの希少難病を層別化し個別の精密医療(Precision medicine)を提供できるよう研究を進めています。具体的にはゲノム配列から変異を見つけ(Re-seq解析)、その変異による遺伝子発現の変化を捉え(RNA-seq解析)、エピゲノム分子制御も考慮し(ChIP-seqなど)、組織中の代謝物などの情報も組み合わせることで多方面から病態に迫る横断オミックスという手法を展開しています。さらに全国の大学や病院と連携しながら症例を増やしより精度の高い遺伝的な診断が出来るよう体制を整えています

メンバー紹介

【メンバー】
朝野仁裕(講師)
木岡秀隆(助教)
多久和綾子(特任研究員)
山田憲明(大学院生)
四宮春輝(大学院生)
伯井秀行(大学院生)
高橋佑典(大学院生)
山本泰士(大学院生)
寺元 健
(大学院生(歯学部))

【共同・連携研究者】
高島成二(医化学・教授)
新谷泰範(医化学・准教授)
塚本 蔵(医化学・助教)
加藤久和(医化学・助教)
西田優也
(医化学・特任研究員)
松岡研(特任研究員)
大谷朋仁
(循環器内科学・助教)
宮下洋平
(死因究明学・特任助教)
神﨑万智子(国際循環器内科学・特任研究員)

主要論文

  1. Kanzaki M, et al. A Development of Nucleic Chromatin Measurements as a New Prognostic Marker for Severe Chronic Heart Failure. PLOS ONE. 2016.
  2. Yan Y, et al. Augmented AMPK activity inhibits cell migration by phosphorylating the novel substrate Pdlim5. Nat Commun. 2015.
  3. Hayashi T, et al. Higd1a is a positive regulator of cytochrome c oxidase. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2015.
  4. Kioka H, et al. Evaluation of intra-mitochondrial ATP levels identifies G0/G1 switch gene 2 as a positive regulator of oxidative phosphorylation. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2014.
  5. Matsuoka K, et al. Noninvasive and quantitative live imaging reveals a potential stress-responsive enhancer in the failing heart. FASEB J. 2014.
  6. Shintani Y, et al. TLR9 mediates cellular protection by modulating energy metabolism in cardiomyocytes and neurons. Proc Natl Acad Sci U S A.2013.
  7. Nakano A, et al. AMPK controls the speed of microtubule polymerization and directional cell migration through CLIP-170 phosphorylation. Nature Cell Biology. 2010.
  8. Higo S, et al. Isoform-specific intermolecular disulfide bond formation of heterochromatin protein 1 (HP1). J Biol Chem. 2010.
  9. Seguchi O, et al. A cardiac myosin light chain kinase regulates sarcomere assembly in the vertebrate heart. J Clin Invest. 2007.
  10. Shintani Y, et al. Glycosaminoglycan modification of neuropilin-1 modulates VEGFR2 signaling. EMBO J. 2006.
  11. Asano Y, et al. Lamr1 functional retroposon causes right ventricular dysplasia in mice. Nature Genetics. 2004.
  12. Takashima S, et al. Heparin-binding EGF-like growth factor and ErbB signaling is essential for heart function. Proc Natl Acad Sci U S A. 2003.
  13. Yamazaki S, et al. Mice with defects in HB-EGF ectodomain shedding show severe developmental abnormalities. J Cell Biol. 2003.
  14. Takashima S, et al. Targeting of both mouse neuropilin-1 and neuropilin-2 genes severely impairs developmental yolk sac and embryonic angiogenesis. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002.
  15. Asakura M, et al. Cardiac hypertrophy is inhibited by antagonism of ADAM12 processing of HB-EGF: Metalloproteinase inhibitors as a new therapy. Nature Medicine 2002.
  16. Soker S, Takashima S, et al. Neuropilin-1 is expressed by endothelial and tumor cells as an isoform- specific receptor for vascular endothelial growth factor. Cell 1998.

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