SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメインがヒトiPS細胞由来分化心筋細胞に与える影響を解明

SARS-CoV-2 spike receptor-binding domain is internalized and promotes protein ISGylation in human induced pluripotent stem cell-derived cardiomyocytes
Scientific Reports 2023

https://www.nature.com/articles/s41598-023-48084-7

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、原因ウイルスであるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質をコードするmRNAワクチンが世界中で使用されています。mRNAワクチン接種後に心筋炎発症リスクが増加することが報告されていますが、そのメカニズムは未だ明らかではありません。本研究では、ヒトiPS細胞由来分化心筋細胞に対するSARS-CoV-2スパイクタンパク受容体結合ドメイン(Spike-RBD)の直接的な影響を検証しました。SARS-CoV-2ウイルス受容体であるACE2を介して、Spike-RBDがヒトiPS細胞由来分化心筋細胞に結合し、エンドリソソーム経路を介して取り込まれる過程を、蛍光蛋白を標識したライブセルイメージングにより検出しました。また、定量PCRアレイ、シングルセルRNA解析を用いて、成熟した心筋細胞において、Spike-RBDの取り込みによりインターフェロン応答遺伝子の発現が上昇し、特にウイルス応答に関わるISG15による翻訳後修飾であるISGylationが促進していることを示しました。これらの研究結果がCOVID-19ワクチン後心筋炎の機序解明の一助となることが期待されます。

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