重症心不全内科治療学グループ

グループ概要

大阪大学医学部附属病院循環器内科では、心臓移植適応となる重症心不全症例を全国から受け入れ、その診療にあたっています。難治性心筋症は、このような重症心不全の原因の多くを占めますが、未だ有効な治療法が存在しません。重症心不全内科治療学グループは、既存の治療が奏功しない重症心不全、特に難治性心筋症の克服を目標に、臨床情報、生体試料及び最新の分子生物学手技を駆使した研究開発に取り組んでいます。

研究目的および内容

1. 難治性心筋症ヒトモデル細胞の樹立と病態解明

拡張型心筋症には、肥大型心筋症、不整脈原性心筋症、二次性心筋症を含む様々な分子病態が混在しています。我々は、特発性拡張型心筋症と診断された症例においてDSG2(デスモグレイン2)欠損心筋症を同定、iPS細胞由来分化心筋細胞を用いてその病態を再現し、遺伝子治療概念を実証しました(Hum Mol Genet. 2021 Jul 9;30(15):1384-1397)。不整脈原性心筋症症例から作製したiPS細胞由来分化心筋細胞を用いて、PKP2(プラコフィリン2)欠損が収縮力低下、デスモゾーム形成異常を来すことを見出し、ゲノム編集によりデスモゾームイメージング細胞を構築し、遺伝子補充後のデスモゾーム回復過程を可視化しました(Stem Cell Reports. 2022 Feb 8;17(2):337-351)。また、拡張相肥大型心筋症症例から作成したヒトiPS細胞由来分化心筋細胞を用いて、TNNT2(トロポニンT)遺伝子変異がカルシウム制御機構の異常、拡張機能障害をきたすことを明らかとし、薬物治療による治療概念を実証しました(Circ Genom Precis Med. 2022;15:e003522)。我々は、疾患iPS細胞、ゲノム編集技術を研究基盤に据え、多くの研究機関と共同研究を推進しています。大阪大学における臨床基盤と基礎研究を密接に連携させ、重症心不全の克服に取り組んでいくことを目標としています。

2. 難治性心筋症分子基盤を是正する治療法の開発

ゲノム編集技術の心筋細胞への応用に取り組み、アデノ随伴ウイルスによる遺伝子導入により、新生仔マウス心筋細胞や、成獣マウス心臓組織における相同組み換え(Homology-directed repair: HDR)による遺伝子改変に成功し、本技術を応用し、iPS細胞由来分化心筋細胞におけるHDRを用いた分子イメージング系を確立しました(Sci Rep. 2017 Aug 24;7(1):9363Sci Rep. 2020 Sep 18;10(1):15348)。これらの技術をもとに難治性心筋症研究への取り組みを開始し、HDRにより遺伝子を改変したiPS細胞株の樹立を迅速に行う系を確立しました(Methods Mol Biol. 2021;2320:235-245)。既存の治療薬が無効な難治性心筋症に対し、ヒトモデル細胞を用いて、上流に存在する分子基盤の解明と、分子基盤異常を是正する治療法開発に取り組んでいきます。

3. 心不全病態関連分子の機能解析

培養心筋細胞を用いたChIPシークエンスによる網羅的解析から心筋肥大を負に制御する因子を同定しました(Sci Rep. 2016 Jun 27;6:28592)。また、オミクス解析より同定した病態分子に対し、遺伝子改変動物や培養細胞を用いた解析を行っています。

メンバー紹介

肥後修一朗
(特任准教授)
亀田聡士(大学院生)
井上裕之(大学院生)
田端智香(大学院生)
奥野翔太(大学院生)
小川 翔(大学院生)
森下 優(大学院生)
孫 叢叢(大学院生)
西澤めぐみ(事務補佐員)
藤原ますみ(技術補佐員)
守安愛紗(技術補佐員)
【連携・共同研究者】
彦惣俊吾(准教授)
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