ハイコンテントイメージングを用いて心筋細胞カルシウム動態解析アルゴリズムを構築
Multiplexed Measurement of Cell Type-specific Calcium Kinetics using High-content Image Analysis Combined with Targeted Gene Disruption
Biochem Biophys Res Commun. 2022
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X22014991
心筋細胞内のカルシウム動態は、遺伝性心筋症で同定された遺伝子変異の病原性評価に広く用いられています。通常のカルシウム動態評価方法は、培養ウェル全体の心筋細胞を対象とするため、個々の心筋細胞の変化を一度に検出することが困難でした。本研究では、ハイコンテントイメージングを用いることにより、一度に数千個のマウス培養心筋細胞において、カルシウム動態と免疫染色画像をリンクさせ取得する解析アルゴリズムを構築しました。Cas9ノックインマウス培養心筋細胞へガイドRNAを導入し、本解析を行うことにより、Serca2aをノックダウンした心室筋細胞における活動電位持続時間の延長を検出しました。拡張型心筋症症例において同定されたPKD1(Polycystin-1)遺伝子フレームシフト変異の病態への影響を評価するため本手法を用いて解析しところ、Polycystin-1はSerca2aやLタイプカルシウムチャンネルと共局在し、Polycystin-1が低下した心室筋細胞においてカルシウム電位が低下することが明らかとなりました。ハイコンテントイメージングにゲノム編集を組み合わせた解析は、多検体における心筋細胞の動的・静的情報をバイアスなく迅速に取得可能であり、心筋症遺伝子変異の病原性評価に有用と考えられます。