循環器内科クリニカルクラークシップ

循環器内科クリニカルクラークシップ概要

循環器内科クリニカルクラークシップでは、入院症例を受け持ち、その病態、診断、治療内容の把握、適切なプレゼンテーション手技の習得を目指します。また、疾病に対する診療だけでなく、退院後の生活や治療コンプライアンスの問題等、患者環境についても検証し、近い将来に実際に症例を受け持つシミュレーションの場ととらえてください。学生4名に対して1名の担当教官をつけ、きめ細かな指導のもと、英語原著論文の文献考察を含めた総合レポートの作成を行ってもらいます。同時に、各専門分野に分かれたクルズスを受講することで、心不全、虚血性心疾患を含めた幅広い知識の習得を目標とします。また、Webも併用するなどして、COVID-19下においても、充実したクリニカルクラークシップを目指しています。

循環器内科クリニカルクラークシップラウンド表(例)

第一週
午前 オリエンテーション クルズス:心電図の読み方と徐脈性・頻脈性不整脈 クルズス:心電図の読み方(実践) アブレーション・デバイス手術見学 シミュレ-タ-聴診実習
午後 クルズス:慢性心不全の診断と治療 クルズス:虚血性心疾患の病態と診断 心エコー実習 クルズス:心筋症の病態と治療 クルズス:重症心不全の治療
第二週
午前 PCIシミュレーター実習 クルズス:虚血性心疾患の二次予防 アブレーション・デバイス手術見学 クルズス:虚血性心疾患の治療 教育回診
午後 PCI見学 心エコー実習 クルズス:動脈硬化 クルズス:新しいカテーテル治療
第三週
午前 クルズス:心疾患の画像診断 PCI見学 クルズス:心臓移植後・成人先天性心疾患患者の管理
午後 循環器内科ACLS クルズス:再生医療 口頭試問 心不全レポート発表
第四週
午前 学外実習 学外実習 学外実習 学外実習 学外実習
午後 学外実習 学外実習 学外実習 学外実習 学外実習
(※Web Funtime)

※クリクラ打ち上げをWeb飲み会形式で行っています。循環器内科の生の声を学生さんへ届けます!

項目 クルズス・実習内容
専門分野クルズス 慢性心不全の診断と治療
重症心不全の治療
虚血性心疾患の病態と診断
虚血性心疾患の治療
虚血性心疾患の二次予防
動脈硬化
心疾患の画像診断
心電図の読み方と徐脈性・頻脈性不整脈
心電図の読み方(実践)
心筋症の病態と治療
心臓移植後・成人先天性心疾患患者の管理
再生医療
新しいカテーテル治療
実習 循環器内科ACLS
PCI見学
アブレーション・デバイス手術見学
心エコー実習
シミュレーター聴診実習
PCIシミュレーター実習
発表・回診等 心不全レポート発表
教授教育回診
教授口頭試問

慢性心不全の診断と治療

慢性心不全の診断と治療の基礎を学びます

到達目標

  • 慢性心不全を病態生理から理解する。特に、神経体液性因子を介した負のスパイラルの形成、それに対する介入の重要性を理解する。
  • 慢性心不全に対する、自覚症状、病態整理、各種計測値からの分類法を学ぶ。
  • 慢性心不全の重症度分類に応じた治療法の選択を学ぶ。
  • 各種内服薬、静注薬の使い分けについて学ぶ。
  • 現在の循環器領域における慢性心不全治療の問題点、最新の取り組みを知る。

重症心不全の治療

内科治療抵抗性の重症心不全に対する治療方法を学びます

到達目標

  • 高度の収縮能低下を伴う重症心不全の病態を理解する。
  • 静注強心薬の分類、使い分けを学ぶ。
  • 補助循環、非薬物治療について学ぶ。
  • 左室補助人工心臓(LVAD)、心臓移植の適応、実際を理解する。

虚血性心疾患の病態と診断

心筋虚血の病態・成因・臨床像を整理しその診断法を理解すると共に、主な原因の1つである冠動脈疾患についての画像診断について理解を深めることを目的とします

到達目標

  • 心筋虚血の病態、原因と分類、臨床像、非侵襲的検査法を学ぶ。
  • 冠動脈疾患の分類、病態生理、画像診断を学ぶ。
  • 虚血性心疾患患者の二次予防について知る。

虚血性心疾患の治療

虚血性心疾患に対するインターベンション治療の基本・応用について学びます

到達目標

  • 虚血性心疾患治療の現状、問題点を知る。
  • 発展の著しい冠動脈ステント治療の現状、薬剤溶出性ステントの概要、利点、問題点を学ぶ。
  • カテーテルインターベンションの最新の動向を学ぶ。
  • ステント治療後の抗血小板治療の基本を理解する。

虚血性心疾患の二次予防

虚血性心疾患の二次予防について学びます

到達目標

  • 虚血性心疾患は、治療後も再度の発症・カテーテル治療を必要とするリスクの高い患者集団であることを理解する。
  • 冠動脈疾患の、介入が可能な危険因子の中でも、2次予防の中心となる 脂質異常症の管理について、ガイドラインを踏まえて理解する。
  • LDL-Cの治療目標の考え方について理解する。
  • さらに、冠動脈疾患の高リスク患者である家族性高コレステロール血症や、開発中の最新治療法(核酸医薬、幹細胞治療)開発の現状についても理解を深める。

動脈硬化

粥状動脈硬化と脂質異常症について講義を行います

  • 粥状動脈硬化はなぜ起こるのか、病態生理、基礎的な背景も含めて理解する。
  • 動脈硬化疾患を予防するためにどうすればよいのか理解する。

心疾患の画像診断

虚血性心疾患、非虚血性心疾患における侵襲的・非侵襲的画像診断について従来の方法・新しい方法を含めて学びます

到達目標

  • 機能的・構造的心疾患の診断方法と読影方法を知り、その診断樹の中での役割を知る。
  • 主にSPECT、CT、MRIに焦点をあてて学習する。
  • その他、心カテーテル検査見学のためにIVUS、OCTの読み方を学ぶ。

心電図の読み方と徐脈性・頻脈性不整脈

基本的な心電図の読み方、徐脈性不整脈・頻脈性不整脈に関する学習を行います

到達目標

  • 心電図波形の基本を理解する。
  • 心電図所見の基本的なプレゼンの仕方を習得する。
  • 基本的な調律の判別方法を理解する。
  • 徐脈性不整脈に対する非薬物療法(デバイス治療)を学習する。
  • 代表的な頻脈性不整脈の判別、診断法を学ぶ。
  • 頻脈性不整脈に対する薬物治療の基本を理解する。
  • 頻脈性不整脈に対する非薬物治療の基本を理解する。
  • 緊急処置が必要な不整脈を知る。

心電図の読み方(実践)

心電図を用いた実践的な演習を行います。

到達目標

  • 実際の症例の心電図を用いて、所見付け、判読を行う。
  • 心電図所見を、心電図の原理から考え理解する。
  • これまでの知識の再確認を行う。
  • 担当相例の心電図判読に応用する。

心筋症の病態と治療

各種心筋症について発症要因から病態生理を含め学びます

到達目標

  • 心筋症について、発症要因、病態生理、鑑別を学ぶ。

心臓移植後・成人先天性心疾患患者の管理

阪大病院での実例を交えながら、心臓移植後・成人先天性心疾患患者の管理について概説します。(応用講座)

到達目標

  • 心臓移植後・成人先天性心疾患患者の管理の実際を知る。

再生医療

心血管疾患に対する再生医療の現状、最先端の知識を習得します

到達目標

  • 傷害を受けた際に自己修復ができない心臓という臓器の特性、分裂増殖ができない心筋細胞の特性を知る。
  • iPS細胞の作成をはじめとした、臓器再生治療の最先端を知る。

新しいカテーテル治療

構造的心疾患(弁膜症、先天性心疾患など)に対する新たなカテーテル治療を学びます

到達目標

  • 構造的心疾患の定義、病態生理を理解する。
  • 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI: Transcatheter Aortic Valve Implantation)の適応、手技の実際を学ぶ。

循環器内科ACLS

到達目標

  • 街中で急変に立ち会った場合、基本的な対応方法、蘇生処置を行うことができるようになる。

PCI見学/アブレーション・デバイス手術見学

到達目標

  • カテーテル検査・治療中のモニタリング法を理解する。
  • 清潔区域、清潔操作を理解する。
  • 実際の穿刺手技、カテーテル操作、治療手技を学ぶ。

心エコー実習

心エコーの基本的な観察法、判読法について学びます

到達目標

  • 代表的なエコーの描出法を学ぶ。
  • 非侵襲的な容量負荷の判別方法を学ぶ。
  • 緊急対応が必要な疾患の特徴的なエコー所見像を知る。

シミュレーター聴診実習

基本的な聴診法について実習を行います

到達目標

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  • 雑音の特徴を把握し、記録する方法を学ぶ。
  • 聴診、視診、触診を通じて得られた所見を総合評価する。

PCIシミュレーター実習

心臓カテーテル検査について、シミュレーターを用いた実習を行います

到達目標

  • 心臓カテーテルの歴史、医療機器分野の現状を知る。
  • カテーテル操作を実体験する。
  • 実習を通じて循環器内科に興味をもってください。

心不全レポート発表

クリニカルクラークシップ中に担当した症例について発表を行い、症例に関する議論を行います。

到達目標

  • 担当症例について、要点をおさえた適切なプレゼンテーション・質疑応答を行う。
  • 担当症例以外についても積極的に質問を行い、理解を深める。

教授教育回診

実際の症例に対する問診および代表的な心雑音を有する症例の聴診を行います。COVID-19下では、学生の代表者による問診の様子を別室のカンファレンスルームにライブ中継し、カンファレンスルームの学生も、問診の様子を見ながら教官とリアルタイムで議論し、循環器疾患患者の問診について理解を深めてもらいます。

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到達目標

  • 循環器疾患患者の問診のポイントについて理解する。
  • 疾患ごとの実際の心雑音を知る。

教授口頭試問

特定のテーマについて、口頭試問を行う。

到達目標

  • 臨床講義およびクリニカルクラークシップで学んだ循環器疾患について、口頭試問におけるコミュニケーションを通じて理解を深める。
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