通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

循環器疾患レジストリ研究(臨床効果データベース整備事業 CLIDAS研究)

1.研究の対象

20歳以上で、

  1. 2013年 4 月 1 日から 2022年12月31日まで狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患のために当院に入院されたことがある
  2. 2013年 4 月 1 日から 2022年12月31日まで心不全治療で外来通院をされているか入院されたことがある
  3. 2018年1月1日から2022年12月31日まで高血圧があり、当院循環器内科を5回以上受診され、心電図検査を1回以上受けたことがある

のいずれかに該当する方を対象としております。

2.研究目的・方法

いわゆるEBMと呼ばれる科学的根拠に基づいた医療を行うべきだという概念は日本においては1990年代から徐々に浸透してきました。そうした科学的根拠として最も信頼が置かれてきたのが介入試験の結果となります。介入試験というのは次のようなものです。研究対象となる患者さんを二つのグループに分け、それぞれのグループの患者さんに対して従来の治療Aと新しい治療Bを無作為に割り当てて治療を行い、通常数ヶ月から数年間追跡調査を行ってAとBのどちらが有効であるかを比較します。科学的根拠としては確かに最も質が高いものですが、介入試験を行うに当たってはできるだけ効果の違いを明らかにするために登録できる患者さんに条件をつけて行われることが一般的です。そのため、介入試験に含まれている患者さんたちは実際に我々が診察している患者さんの像とは異なることが多々あります。他方で実際にどのような治療がどのくらい多く行われていて、費用対効果を含めた効果がどのようであるかについてはこれまで十分検討されてきませんでした。そのため、本研究では電子カルテや関連システムに蓄積されたデータを分析することで診療の実態を明らかにし、各治療間の費用対効果を含めた効果の検証を行う予定です。また、一施設だけですと傾向が偏って必ずしも一般的に言える結果が得られないため、多機関共同で研究を行います。これまでこうした研究がなかなか行われなかったのは、電子的にデータが蓄積されていたとしても電子カルテのメーカによって形式が異なっていたことが原因の一つでした。本研究では様々な電子カルテに残された情報を共通の形式で統合し、その情報を分析し循環器疾患の実態・薬物あるいはカテーテル治療などの効果・有害事象、患者さんの予後などを調べます。
この研究は自治医科大学医学系研究倫理審査委員会(研究代表機関)あるいは各医療機関に設置された倫理審査委員会の承認を受け、各医療機関の長が許可し実施されるものです。

3.研究に用いる情報の種類

  • 患者背景
    ID、年齢、性別、身長、体重、病名、冠危険因子(高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症)、既往(脳卒中)、飲酒歴
  • 血圧・脈拍数
  • 一般血液検査・血液生化学検査
  • 心電図
  • 心エコー
  • 心臓カテーテル検査・治療に関するデータ
  • 心血管イベントデータ(非致死的心筋梗塞、冠動脈血行再建、非致死的脳卒中、全ての死亡)
  • DPCデータ

などを、電子カルテから抽出し研究に用います。

4.外部への試料・情報の提供

この研究に関わって収集される情報・データ等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。あなたの情報・データ等は、解析する前にカルテI D・氏名・住所・生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにしたのち、自治医科大学へ送付・一元化し、それを最終的なデータベースとして研究に利用させていただきます。得られたデータは主たる研究機関である自治医科大学へ集積させますが、データの提供は特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。対応表は、各医療機関における研究責任者が保管・管理します。

5.研究組織(責任者)

自治医科大学 永井良三
自治医科大学附属病院 興梠 貴英、苅尾 七臣
自治医科大学附属さいたま医療センター 藤田 英雄
東京大学医学部附属病院 都島 健介
九州大学病院 的場 哲哉
東北大学病院 中山 雅晴、後岡 広太郎
国立循環器病研究センター 宮本 恵宏、岩井 雄大
熊本大学病院 辻田 賢一、中村 太志
大阪大学医学部附属病院 坂田 泰史、武田 理宏
愛媛大学医学部附属病院 山口 修、木村 映善

6.お問い合わせ先

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
また、ご自身の情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。なお、データ集計を終えた後は、それぞれの患者さんのデータがどれに対応するか不明となるため、削除することが出来ない場合があります。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先

大阪大学医学部附属病院 医療情報部
住所  大阪府吹田市山田丘2−15
電話  06-6879-5900
担当  小西正三

研究責任者

大阪大学大学院 循環器内科学 坂田泰史

研究代表者

自治医科大学 学長  永井良三

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