通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

わが国における拡張相肥大型心筋症を対象とした登録観察研究

更新日:2020.05.07

研究概要・目的

 肥大型心筋症の2~5%はその経過の中で拡張相肥大型心筋症に移行します。拡張相肥大型心筋症は、心筋症の家族歴が多く、拡張型心筋症よりも症状が重症で治療抵抗性心不全に陥り、心室性不整脈の合併が多く予後不良であることが報告されています。このため、拡張相肥大型心筋症に対する有効な治療の確立が望まれており、現在まで、拡張相肥大型心筋症を対象とした観察研究が、わが国も含め数多く報告されておりますが、いずれも小規模であり、多数例を集積した登録観察研究はありません。そのため、拡張相肥大型心筋症の臨床像や治療の実態、予後については不明な点が数多くあります。本研究の目的は、わが国の拡張相肥大型心筋症患者を対象として、多施設共同レジストリーデータベースを構築し、その臨床像、治療内容とともに予後を明らかにすることです。

対象症例

 当院において、2024年3月31日まで肥大型心筋症(心エコーにて左室壁厚が15mm以上で、他に心肥大をきたす全身性疾患や心疾患を認めない)と診断され、経過中に左室収縮機能障害(左室駆出率が50%未満)を生じた方。  ただし、研究参加にあたり十分な検査ができない方は対象外となります。

研究参加施設

 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学
 大阪大学医学部附属病院
 九州大学大学院医学研究院循環器内科学
 九州大学病院循環器内科
 山形大学医学部循環器内科学
 東北大学循環器内科学分野
 東京大学循環器内科学
 東京医科歯科大学循環制御内科学
 名古屋大循環器内科学
 金沢大学循環器内科
 国立循環器病研究センター循環器内科
 福島県立医科大学循環器血液内科学
 東京慈恵会医科大学循環器内科
 奈良県立医科大循環器内科学
 北海道大学循環病態内科学
 慶應義塾大学医学部循環器内科
 京都大学循環器内科
 久留米大学医学部心臓血管内科

研究方法

 該当する患者を対象者として登録し、下記の情報を診療録から取得します。

〔取得する情報〕

1.登録日(Time3)

2.患者基本情報(Time3)
  ①患者ID ②年齢・性別 ③身長・体重 ④家族歴:心筋症・突然死

3.肥大型心筋症時評価(Time1)
  ①年月日 ②年齢 ③初発症状と時期 ④症状(心不全・不整脈)、NYHA ⑤心エコー:左室拡張末期径・左室収縮末期径・左室駆出率・心室中隔壁厚・左室後壁厚・左房径・左室流出路圧較差・心尖部肥大・僧帽弁逆流 ⑥不整脈:心房細動(一過性、持続性、永続性)・心室頻拍(非持続性、持続性)・心室細動 ⑦塞栓症

4.拡張相肥大型心筋症に移行時評価(Time2)
  調査項目はTime1と同じ

5.登録時評価(Time3)
  ①自覚症状:NYHA ②身体所見:収縮期血圧・拡張期血圧・心拍数 ③臨床検査:BNP(またはNT proBNP)・Hb・総ビリルビン・BUN・クレアチニン・尿酸・Na・K ④心エコー:左室拡張末期径・左室収縮末期径・左室駆出率・心室中隔壁厚・左室後壁厚・左房径・左室流出路圧較差・心尖部肥大・僧帽弁逆流 ⑤核医学検査(任意検査)⑥薬物治療:ACE阻害薬・ARB・β遮断薬・ループ利尿薬・サイアザイド系利尿薬・アルドステロン受容体拮抗薬・ジギタリス・Ca拮抗薬・I群抗不整脈薬・アミオダロン・ワーファリン ⑦非薬物治療:PPM・ICD・CRT-P・CRT-D・PTSMA・外科的心筋切除術(施行時期も)⑧心血管イベント:(発症からTime3までの期間に生じたイベント)心不全増悪による入院、心血管疾患による入院、致死性不整脈(持続性心室頻拍、心室細動)、ICD作動、心臓移植

6. 追跡調査(Time4)
  全死亡、心血管死(心不全死、突然死、脳卒中死)、非心臓死、心不全増悪による入院、心血管疾患による入院、致死性不整脈(持続性心室頻拍、心室細動)、ICD作動、補助人工心臓、心臓移植

本研究のために新たな検査、治療法が追加されることはありません。また、データは匿名化することで個人情報は消去いたします。また、情報が外部に漏れないように厳重に管理、保管し、研究成果が公表される場合にも個人が特定されないように取り扱います。

 通常の診療で得られた内容のみを使用する研究ですので、患者さま一人ずつの直接の同意はいただかずに、この掲示になどによる患者さまへのお知らせをもって実施されます。患者さまにおかれましては研究の主旨をご理解頂き、本研究へのご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 万一、この研究への参加を希望されない場合、途中から参加取りやめを希望される場合には主治医に直接お申し出いただくか、下記の大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学の下記の連絡先にご連絡下さい。

 また、研究に対しての質問・苦情等がございましたら、下記の大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学の下記の連絡先にご連絡下さい。

研究機関名/研究責任者

 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座
 (研究責任者:坂田泰史 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座教授)

本研究に関する代表連絡先

 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座
 大谷 朋仁
 TEL 06-6879-3640

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