慢性心不全患者に対する陽圧換気療法 (Adaptive-Servo ventilation:ASV)の忍容性に関する研究
研究概要
ASVはマスク式人工呼吸であり、患者の呼吸を補助することにより、肺や心臓の負担を軽減する装置であります。十分な内科的治療にもかかわらず、心不全症状が強い症例や、急性心不全入院を反復する症例に対して、近年ASVが心機能や予後を改善することが報告されています。そのため、ASVは心不全を適応とした新たな呼吸補助装置として、日本国内で広く使用されるようになってきています。この心機能や予後の改善には、ASVを長期間使用可能であるという忍容性が重要と報告されていますが、実際の導入成功率や継続率はあまり高くありません。心不全患者に対するASV施行例において、不忍容の割合は明らかにはなっていませんが、臨床上ASVの効果を特に期待する重症例ほど不忍容の割合が多い印象があります。 これまでの経験からはASV導入初期の自覚症状の改善度が大きいほど長期的忍容性がよいことが予測されますが、なぜ重症例ほど不忍容なのか、何か工夫をすればASVを続行できるのか否は不明であります。したがって、この忍容性の規定因子を解明することにより、無理なASVの導入や継続を避けることができ、また、ASVを続行するための工夫が考案できれば、ASVによるさらなる予後の改善も期待できると考えられます。本研究は多施設共同の観察研究であり、ASVの忍容性に関する規定因子を明らかにすることを目的とし、ASV継続へのアプローチに役立てるものであります。
当科での研究代表者
循環器内科学教授:坂田泰史
統括研究代表者
独立行政法人国立病院機構大阪医療センター科長:安村良男
(分担施設)
大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学
国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門
大阪市立大学附属病院 循環器内科学
研究デザイン
前向き多施設観察研究
登録症例規模および研究期間
目標症例数:40例
試験予定期間:2015年6月まで
本研究に関する代表連絡先
〒565-0871
大阪府吹田市山田丘2-2
大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学:大谷朋仁
TEL:06-6879-3640