通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

重症家族性高コレステロール血症(主としてホモ接合体)に対する同種脂肪組織由来多系統前駆細胞移植療法の安全性の検討 (AMED再生医療実用化研究事業)

研究概要

 家族性高コレステロール血症は、主としてLDL受容体の欠損により、血中LDLコレステロール値が異常高値を示す疾患です。ホモ接合体では30歳代で心筋梗塞などの冠動脈硬化症を発症することもあり、国の難治性疾患克服研究事業の特定疾患に指定されている難病です。標準的治療として、週1回のLDLアフェレーシス(吸着)療法がおこなわれていますが、LDLの除去効果が一時的であり、患者さんの体力的・時間的負担も大きく完全な治療法とは言えません。これまでの根治的治療法として肝臓移植がありますが、実際にはドナーの制約からほとんど実現していません。

 そこで我々は、健常提供者から肝臓を移植するかわりに、脂肪組織を吸引採取し、
脂肪組織由来多系統前駆細胞(adipose tissue-derived multilineageprogenitor cells;ADMPC)という体性幹細胞の一種を分離し、医学部附属病院内の臨床専用細胞調整室内で安全に3-4週間培養した後、患者さんの肝臓内にカテーテルから移植するという、まったく新しい細胞移植療法を考案しました。肝臓移植に比し、ドナー、レシピエントとも全身麻酔や開腹手術が必要でなく負担が少ないのが特徴です。我々は本治療法により肝臓での LDL処理機能を回復し、最終的に薬物療法との併用によりLDLアフェレーシスの頻度を減らす、予後を改善することを目標としています。

 第1相臨床研究の実施にあたっては、厚生労働省「再生医療等安全性確保法」に基づいて第1種再生医療等提供計画「重症家族性高コレステロール血症(主としてホモ接合体)に対する同種脂肪組織由来多系統前駆細胞移植療法の安全性の検討」を作成、申請し、平成27年10月23日大阪大学第1特定認定再生医療等委員会で承認、平成27年12月25日付けで厚生労働省厚生科学審議会再生医療等評価部会より第一種再生医療等提供計画の適合性確認を得ています。本臨床研究は、同種ADMPCの門脈内投与という点において“First in Human”試験であり、主要評価項目として安全性を、さらに副次評価項目として血中LDL-C濃度の低下、LDLアフェレーシスの回数減、中止を評価します。

④ADMPC臨床研究 図1
⑤ADMPC臨床研究 図2

当科での研究代表者

山下静也 大阪大学大学院医学系研究科総合地域医療学寄附講座 特任教授

統括研究代表者

山下静也 大阪大学大学院医学系研究科総合地域医療学寄附講座 特任教授

研究デザイン

単群、非対照、ランダム化無し、盲検化無し
First in Human

公開試験ID

UMIN 000020591

登録症例規模および研究期間

4例
登録期間   2018年8月31日まで
研究実施期間 2019年8月31日まで

本研究に関する代表連絡先

大阪大学大学院医学系研究科
循環器内科学講座
循環器脂質・動脈硬化研究室
小関正博
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2
TEL:06-6879-3633
e-mail:koseki@cardiology.med.osaka-u.ac.jp

月間アーカイブ
PageTop