通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

心臓大血管救急におけるICTを用いた革新的医療情報連携方法の普及と広域救命救急医療体制確立に資するに関する研究

1.研究の対象

急性冠症候群、大動脈緊急症(急性大動脈解離、大動脈瘤破裂)を発症して下記のデータベースに匿名化されて登録されている患者群を対象とします。

2.研究目的・方法

急性大動脈解離や破裂性大動脈瘤を含む大動脈緊急症に対する手術手技は確立し、血管内治療の活用も相まって徐々に治療成績は改善していますが、依然として死亡率は高いです。また、急性心筋梗塞をはじめとする冠動脈救急疾患の治療成績は向上していますが、まだ地域差が存在しています。また、またICTを用いた研究において、事前に前医で撮影した画像を入手することで、正確な画像情報に基づいた迅速なデバイス準備、手術室・人員確保による初療から根治的治療開始までの時間(door to intervention time)短縮が示されています。
本研究では、既存のデータベースを利用し、心臓大血管救急の治療成績に影響する因子を患者要因や重症度、医療提供側の要因、地域の医療体制の3方から解析して、日本における実状、課題を明らかにすること、および、上記のクラウド型遠隔医療などICTを用いた医療施設間連携によってどのように課題を解決できているか観察研究結果を解析して、最終的に、心臓大血管救急治療体制を地域に実状に合わせていかに構築してゆくべきかを導くエビデンスを集積すること、を目的とします。

3.研究に用いる試料・情報の種類

【研究に用いるデータベースとその特徴】
下記のデータべ―スにある患者情報はいずれも匿名化されています。

  1. JCVSD (Japan Cardiovascular Surgery Database/ NCD (National Clinical Database)データベース:全国規模の外科手術データベース。対象例数(2013~2021年分):約7万件)
    診療情報:年齢、性別、手術を要した疾患の病名、疾患重症度、手術術式、手術後1か月の予後。
  2. JROAD(The Japanese Registry of All Cardiac and Vascular Disease)およびJROAD DPCデータベース:循環器疾患で治療を受けた全国規模のデータベースであり、手術を受けなかったあるいは手術に至らなかった患者群を含んだ包括的なデータベース。対象例数(2016~2020年分):約10万件)
    診療情報:年齢、性別、診断名、治療の際に使用された薬剤やデバイス名、治療後1か月の予後、治療を受けた病院の質指標。
  3. JMDC Claimsデータベース:診療レセプトのデータベース。対象例数(2016~2020年分):約40,000件)
    診療情報:年齢、性別、診断名、診療で使用された薬剤やデバイス、診療コスト
  4. 東京都CCUネットワークデータ:東京都CCUネットワークで記録された心臓大血管救急患者のデータベース。対象例数(2015~2019年分):約10,000件)
    診療情報:年齢、性別、疾患名別症例数、搬送時間、搬入後から治療開始までの時間。入院死亡率。
  5. 破裂性腹部大動脈瘤に対する開腹手術とステントグラフト内挿術の治療選択に関する全国多施設観察研究データ(JEWELRYデータ):日本血管外科学会が主導している破裂性腹部大動脈瘤患者の観察研究データベース。対象例数(2018~2021年分):約1,500件)
    診療情報:年齢、性別、破裂重症度、破裂例の発症から初療そして根治的治療に至る時間経過、治療方法、合併症、予後の詳細。
  6. 大動脈末梢動脈救急治療における医療機関連携に関する多施設臨床データ(MOBILE Aortic研究:大動脈緊急症を対象とした全国大学病院11施設の多施設臨床研究データベース。対象例数(2018~2021年分):約2,200件)
    診療情報:年齢、性別、疾患名、疾患重症度、ICTを用いた病院間情報連携とくに画像連携の有無、搬入から治療開始までの時間。30日死亡率。
  • なお、上記②③についてはデータを購入して利用する予定であり、①はNCDに、④は東京都に、⑤は日本血管外科学会に、⑥は日本血管外科学会および日本心臓血管外科学会にそれぞれデータ利用の許諾を2021年度中に申請してゆく予定です。

4.外部への試料・情報の提供

研究代表機関から当院へのデータの提供はありません。解析のために取得されたデータは研究代表機関が保管・管理します。

5.研究組織

○研究代表機関

旭川医科大学

東 信良

○研究分担機関

岩手医科大学

森野禎浩

大分大学

宮本伸二

大阪大学

坂田泰史

関西医科大学

善甫宜哉

熊本大学

辻田賢一

慶應義塾大学

宮田裕章、高橋 新

国立国際医療研究センター

大津 洋

榊原記念病院

磯部光章、高山守正

順天堂大学

佐瀬一洋

特定非営利活動法人日本遠隔医療協会

長谷川高志

帝京大学

森村尚登

東京医科大学

荻野 均

東邦大学医療センター佐倉病院

本村 昇

東北大学

齋木佳克、久志本成樹

名古屋大学

古森公浩

奈良県総合医療センター

上田裕一

福島県立医科大学

横山 斉

山口大学

森景則保

6.お問い合わせ先

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
連絡先:坂田泰史
所在地:565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2
所 属:大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学
電 話:06-6879-3630

研究責任者:
大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学 坂田泰史

研究代表者:
旭川医科大学外科学講座血管・呼吸・腫瘍病態外科学分野・教授 東 信良

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