通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

大阪大学医学部附属病院循環器内科にて肺腫瘍塞栓性微小血管症(PTTM)または腫瘍関連肺高血圧症と診断された方およびそのご家族の方へ

この研究の対象者に該当する可能性がある方で、
診療情報等を研究目的に利用または提出されることを希望されない場合
研究への協力を希望されない場合、あるいは協力を途中でおやめになりたい場合は
2025年5月31日までに末尾に記載の問い合わせ先または主治医までご連絡ください。

研究課題名

腫瘍関連肺高血圧症レジストリ研究(審査番号2023327NI)

研究期間

2025年2月21日 ~ 2029年1月31日

本研究は長期にわたる研究を計画しています。記載の研究期間終了後も継続する場合は研究期間延長の申請を行う予定です。

研究の内容

対象となるかた

  1. 担がん状態(がん種、stageは問わない、過去5年以内のがんの既往を含む)
  2. 心臓カテーテル検査(平均肺動脈圧21 mmHg以上)または心エコー(三尖弁逆流速度 3.4 m/s.以上)で肺高血圧を認める
  3. 年齢が18歳以上のかた
  4. 性別は問わない
  5. 過去に肺腫瘍塞栓性微小血管症(PTTM)と診断されたかた

以下のような方は参加できません。

  1. 18歳未満のかた
  2. 担当医師が不適当と判断したかた

研究目的・意義

肺高血圧症は、心臓から肺に血液を送り届ける肺動脈に何らかの変化を来たして、肺動脈の血圧が高くなってしまう病気です。この病態は先天性心疾患や膠原病など、さまざまな原因があり、それらによって肺血管の構造が変化し肺血管抵抗値が上昇するために生じます。その結果、心臓の(特に右心室の)負荷が上昇するため、血液の循環が十分でなくなり、軽度の労作でもすぐ息苦しくなることや、場合によっては気を失うこともあります。また、足がむくんだり、肝臓が腫れたり、ときにはお腹に水が溜まったりもします。本来、右心室は高い圧力に耐えられるようには出来ておりませんので、このような状態が長く続くと右心室がうまく働かなくなり、右心不全の状態となり、場合によっては死につながる可能性があります。近年はがんに伴って肺高血圧症がおこる腫瘍関連肺高血圧症という概念も提唱されています。がんの多い本邦では重要な病態と考えられますが、その実態については明らかでありません。
もともと肺高血圧症は予後不良の稀少疾患であり、病態解明や治療法開発のため本邦でも全国レベルでのレジストリ研究が行われてきました。しかしながら、肺腫瘍塞栓性微小血管症(PTTM)を含む腫瘍関連肺高血圧症関するレジストリは存在しません。そこで、PTTMを含む腫瘍関連肺高血圧症患者の経過や診療内容などのデータを中心に収集し、持続的に評価項目の検討を行い、腫瘍関連肺高血圧症の疫学の把握、治療法の検討に結びつけていくことを目的とし本レジストリ研究を行うこととしました。

研究の方法

これまでの診療で診療録(カルテ)に記録されているデータを取得して行う研究です。特に研究対象者の皆さんに新たにご負担いただくことはありません。取得項目は以下の通りです。

  1. 研究対象者の背景
  2. 自覚症状・他覚所見
  3. 有害事象の観察
  4. バイタルサイン
  5. 血液検査
  6. 胸部画像検査
  7. 生理機能検査
  8. 右心カテーテル検査
  9. 心臓MRI
  10. QOL
  11. 6分間歩行試験 (6MWDT)、心肺運動負荷試験
  12. PH特異的治療(投与量、期間)
  13. がん治療(投与量、期間、使用薬剤名)
  14. 上記以外の併用薬(投与量、期間、使用薬剤名)
  15. 腫瘍関連肺高血圧増悪・死亡・治療介入
  16. 重篤な薬物副作用の有無
  17. イベントの発現(心血管関連、呼吸器関連、出血や塞栓関連)

提供いただいた情報・データ等は、共同研究機関と共有し、解析を行います。研究対象者の皆さんのお名前等が、他機関に伝わることはありません。
なお、研究計画書や研究の方法に関する資料を入手・閲覧して、研究内容を詳しくお知りになりたい場合は、末尾の連絡先にお問い合わせください。他の研究対象者の個人情報等の保護や研究の独創性確保に支障がない範囲でご提供させていただきます。

個人情報の保護

この研究に関わって取得される資料・情報等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
取得した資料・情報等は、全データ取得時に氏名・住所等の個人情報を削り、代わりに新しく研究用の符号をつけ、どなたのものか分からないようにした状態で、サーバー上にあるレジストリ登録システム上およびパスワードのかかるパソコン上で保管されます。
また、共同研究機関等で取得された資料・情報等も、個人に結びつく情報は容易には分からない状態に加工されサーバー上にあるレジストリ登録システム上およびパスワードのかかるパソコン上で保管されます。

この研究のためにご自分あるいはご家族の情報・データ等を使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか、下記の問い合わせ先に2025年5月31日までにご連絡ください。研究に参加いただけない場合でも、将来にわたって不利益が生じることはありません。
ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせていただきます。

研究の実施に先立ち、国立大学附属病院長会議が設置している公開データベース(umin)に登録をし、研究終了後は成績を公表いたします。
UMINのホームページ(URL):https://www.umin.ac.jp/ctr/index-j.htm

研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌、国内海外のデータベース等で公表します。

この研究において得られた情報・データ等は個人に結びつく情報は容易には分からない状態に加工された状態で、外部のバンク、データベースに情報・データ等を半永久に保管し、将来の研究のために二次利用する場合がございます。利用する際は、当該バンク、データベースの規約に従います。新たに研究を行う場合は、改めて倫理委員会の審査を受け、承認後にオプトアウトでお知らせいたします。

尚、提供いただいた情報の管理の責任者は下記の通りです。

情報の管理責任者
 所属:東京大学附属病院・循環器内科/高度心不全治療センター
 氏名:波多野 将

本研究の結果として知的財産権等が生じた場合、その権利は共同研究機関及び研究従事者等に属し、研究対象者はこの特許権等およびそれに伴う利益を得る権利等を持ちません。

この研究は、大阪大学医学部附属病院および東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、大阪大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。

この研究に関する費用は、日本心臓病学会若手研究者立案による臨床研究サポート事業 課題名『腫瘍塞栓性微小血管症(PTTM)への治療戦略開発と腫瘍関連肺高血圧症のレジストリ研究』から支出されています。
本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。

尚、あなたへの謝金はございません。

本研究に対する問い合わせ窓口

大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学 木岡 秀隆
住所:〒565-0871 吹田市山田丘2-2
電話番号:06-6879-3640

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