通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

EPO-AMI-II

EPO-AMI-II
心筋梗塞患者に対するエポエチンベータ投与による心機能改善効果に関する研究-II

 

研究概要

 心筋梗塞は急性期死亡率が依然高い疾患である。また、梗塞後慢性期には心不全へ進展するため、急性心筋梗塞に対する新しい治療法の開発は重要なアンメットニーズである。私たちは、大型動物を用いた基礎研究において、エリスロポエチンが心筋細胞死を抑制し、同時に血管新生を促進する結果、梗塞後慢性期心機能を著明に改善することを報告した。さらに、急性心筋梗塞患者(41名)を対象とした早期探索臨床試験において、心筋梗塞急性期におけるエリスロポエチン静脈内単回投与により慢性期心機能が著明に改善することが明らかになった(EPO-AMI-I試験)。そこで、平成23年12月より、急性心筋梗塞患者に対するエリスロポエチン投与による慢性期心機能改善効果を検討するため、多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験(EPO-AMI-II 試験)を開始した。本研究は、全国27施設が参加し、低心機能(左室駆出率50%未満)をともなう初発急性心筋梗塞患者を対象とする。主要評価項目は、心筋シンチにより評価した慢性期左室機能改善効果である。本研究は、急性心筋梗塞患者を対象とする日本初の多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験であり、研究体制は医学統計専門家を含む試験事務局に加え、独立効果安全性評価委員会、独立RI中央評価委員会などからなる。中立かつ専門的なデータマネジメント(中央モニタリング)やGCPに準拠した監査を実施し、世界に通用する”質の高い”臨床試験を実践中である。症例登録は着実に進み、平成27年1月末までに198症例の登録を終了をめざす(平成26年4月12日現在、140 症例登録済み)。平成27年秋には、統計解析を実施し、有効中止、無効中止の場合、本試験を早期に終結する。先進医療Bを活用した質の高い臨床データ収集を行っており、得られた臨床試験データは薬事申請に活用する。本研究の成果は、世界初の心筋梗塞患者に対する薬物補充療法の確立、患者QOL改善、医療費軽減につながる。また、全国試験ネットワークは国際治験基盤システムとして再活用可能である。

当科での研究代表者

 南野哲男

統括研究代表者

 相澤義房 / 小室一成

研究デザイン

前向き多施設介入研究

公開試験ID

 平成23年7月26日先進医療技術名:急性心筋梗塞に対するエポエチンベータ投与療法 先進医療の評価「適」(厚生労働省発保0726第8号)
UMIN試験ID-UMIN0000005721

登録症例規模および研究期間

198症例(第一回中間解析)
平成27年1月31日(登録終了予定)

本研究に関する代表連絡先

大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学
南野哲男
E-mail: minamino@cardiology.med.osaka-u.ac.jp

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