通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

心臓カテーテルシミュレーションに関する研究

更新日:2024.04.08

研究概要

 動脈硬化性疾患は食の欧米化に伴い日本の国民病となっており、虚血性心疾患(冠動脈疾患)の患者さんは現在国内に100万人以上いると推計されています。大動脈瘤、大動脈弁狭窄症もこれら動脈硬化が基礎にあるとされており、日本のみならず世界においても、主に先進国を中心として有病率の高い疾患です。また、カテーテルアブレーション(カテーテル焼灼術)治療の登場により、心房細動をはじめとする不整脈性疾患の治療件数も年々増加しています。このような状況から、循環器疾患は国民医療費の主要な部分を占めており、中でもカテーテル治療は最も費用がかかる分野のひとつです。さらに、使用される機器の海外依存度を考慮すると、医療資源の持続可能性という観点から、いかに効率よく必要十分な治療を行うかが今後の医療の質を維持する上で重要だと言えます。一方で、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)は比較的若い現役世代で多い疾患であり、これらの治療の成否は患者さん個人にとってはもちろん、日本経済全体にも直結する問題です。近年、カテーテル治療の発達により、従来外科手術でしか治療できなかった症例が比較的低侵襲に治療できるようになりつつあり、それに伴い難易度の高い手術をカテーテルで行う機会が増加しています。われわれが開発するシステムは、CTスキャンで得た情報をもとに術前シミュレーションを行うものであり、必要最小限のデバイス(機器)で安全な治療を患者さんに提供し、治療を受けられた方が再び社会で活躍し国に還元していただくことを目指すものです。一方で、このシステム開発には近年目覚ましい進歩を遂げつつある3Dプリンターの技術を用いており、昨今の開発速度をみるに、今後加速度的に運用コストが下がっていくと目されます。従って、トータルでみた医療経済性は現在よりも向上すると期待され、貴重な医療費の節約が実現できると予測されます。世界で飛びぬけてCTスキャナーの普及したわが国において、心臓大血管CT検査から得られる情報を元にした術前シミュレーションの技術を確立することで、手術リスクや手術時間といった患者さんにかかる負担を低減するとともに、わが国のみならず世界の医療経済に資することができると考えています。

当科での研究代表者

 坂田泰史 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学講座 教授

統括研究代表者

 坂田泰史 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学講座 教授

公開試験ID

14333

登録症例規模および登録対象期間

300例:2009年4月1日から2024年12月31日の間に、当院にて心臓CT検査に加え、心臓カテーテルを用いた検査または治療(冠動脈造影検査、冠動脈形成術(PCI)、心筋生検、不整脈アブレーション、ペースメーカー留置、弁膜症に対するカテーテル手術、先天性心疾患に対するカテーテル治療、左心耳閉鎖や心房シャントデバイス留置などのカテーテルによるデバイス留置、大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)や末梢血管形成術(EVT)など大血管に対するカテーテル治療)を受けられた、または受けれる方のうち、トレーニングモデルとしてふさわしいと思われる教育的症例を登録対象とさせていただきます。

研究期間

2014年12月17日~2025年3月31日

倫理的配慮、個人情報の扱いについて

本研究では3Dプリンターを駆使し、心大血管モデルおよびカテーテルシミュレーターの開発を行うため、共同研究企業とデータを共有させていただきます。データに関しては、「連結可能匿名化」を行い、個人情報を保護します。 (研究対象となる方のデータから氏名等の個人情報をすべて削除し、代わりに新しく番号をつけて匿名化を行います。研究対象となる方とこの番号を結びつける対応表は外部に漏れないように厳重に保管いたします。)

研究の資金源および研究に係る利益相反

本研究は、3Dプリンターの製造販売企業である株式会社JMCから研究の実施に必要な資金の提供を受け、同社との共同研究により実施します。
研究を行うときにその研究を行う組織あるいは個人(以下「研究者」という。)が特定の企業から研究費・資金などの提供を受けていると、その企業に有利となるように研究者が研究結果を改ざんあるいは解釈したり、また都合の悪い研究結果を無視するのではないかという疑いが生じます。(こうした状態を「利益相反」といいます。)
この研究における利益相反は、大阪大学大学院医学系研究科・医学部臨床研究利益相反審査委員会による審査を受け、承認を得ています。我々はその審査結果に基づき、利益相反を適正に管理して研究を行います。

本研究に関する代表連絡先

大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座
岡山 慶太
TEL:06-6879−3638

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